特別受益はいつまでさかのぼる?

「兄貴は二浪までして東京の私立大学出してもらっているじゃないか!」

「お前こそ車3台も買ってもらっているじゃないか!」

相続が発生したとき、遺産をどのように分けるかを相続人全員で話し合います。その際、よくこのような兄弟げんかに発展してしまうことに遭遇します。

ある相続人が故人から生前特別に贈与を受けていたり、援助を受けていた場合のことを「特別受益」といいます。遺産分割をする際には、この不公平を解消するために、特別受益を相続財産に加えてから(特別受益の持ち戻し、と言います)遺産分割をするように定められています。

ではいつの分までさかのぼらなくてはならないのでしょうか?答えは、持ち戻しに時効はありません。キリがないですが、過去にさかのぼっていつまでも、です。(ただし遺言書がある場合で、遺留分(最低限相続ができる割合のこと)の計算するときは、相続開始前10年間に限定されています。)

トラブル回避策としては、生前皆さんで話し合って承諾を得ておくのがいいのですが、現実はなかなか難しいようです。やはり遺言書で明確に意思表示しておくのが得策でしょう。なお、遺言書で特別受益の持ち戻しを免除することも可能です。