判例:節税目的の養子縁組

3年前、「相続税対策でお孫さんと結んだ養子縁組は有効かどうか」という裁判がありました。その裁判で最高裁判所は、「節税目的の養子縁組は有効」としたのです。

一見当然のことだと思うのですが、ことの詳細をみてみますと、次のような事実関係がありったようです。2013年に82歳で亡くなった福島県在住の男性は、亡くなる前年、当時1歳だった長男の息子である孫と縁組をしました。それまで男性の法定相続人は長男と娘2人の3人だったのですが、孫との縁組が有効なら4人となります。相続人が多いほど控除額が増えて税金が減るため、財産が多い場合に節税目的で養子縁組をするケースが少なくありません。男性の死後養子縁組の事実を知った娘2人が、「養子縁組は無効」だと訴えたのです。

娘さん2人としては知らないうちに相続分が3分の1から4分の1に減ってしまい、怒るのも当然です。このご兄弟は今も不仲になっているかもしれません。相続対策を考える際は、“争いにならないこと”を最優先に検討すべきですね。